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ご遺族へインタビュー(ご安置について)

カノンでお母様とお別れをされた佐藤様(仮名)にお話しを伺いました。

喪主様:佐藤様(仮名) 50代男性

故人様:お母様 敦子様(仮名) 83歳

カノン:お母様の敦子さんについて、お聞かせいただけますか?

佐藤様:母は当時幼稚園の年長だった私の弟を事故で亡くしました。私はそのときは小4でした。私もそのときの光景をいまだにいろいろと覚えているのですが、母は本当に辛かったと思います。そこから母は十字架を背負って生きてきたのではないかと思います。 そのことで、父が母に辛く当たることもありましたが、そこも母は受け止めていました。 その父は、59歳で病気で亡くなりました。亡くなった弟を父はかわいがっていましたが、弟とは、同じ月に生まれて、同じ月に亡くなっているんです。こういう偶然もあるのですね。 父の病気が分かってから2年間は、母は1日も欠かすことなく病院に通って看病をしていました。その母の姿は忘れられないですし、本当に頭が下がります。私には年の離れた妹がおりますが、私達 兄妹のことをいつも考えてくれていた母でした。

カノン:ご病気が分かったのはどのような経緯だったのでしょうか?

佐藤様:9月17日の夜に腹痛を訴えて、母のところに行くと、布団の上でうずくまって動けない状態でしたので、慌てて病院に行きました。当初病院の対応は非常に事務的だったのですが、母の様子を見て「黄疸がすごいですね」とおっしゃり緊急に医師に連絡を取って下さいました。 レントゲンを撮ったところ、腹部に丸い影があり、肝臓癌の告知を受けました。 癌の大きさは5、5センチもあったんです。1年も持たないと言われ、それを聞いたときは本当にショックでした。 抗がん剤の治療をするためには、母にもそのことを伝えないとならなかったのですが、 癌ではなく悪性腫瘍と言う言葉を先生には使っていただきました。 体調が安定してから抗がん剤を使い始め、入退院を繰り返しながら、治療を進めました。 吐き気がとまらなくて、抗がん剤の治療も辛くなってきたころに緩和病院への転院を勧められたんです。自宅への退院も希望していたのですが、結局自分も夜中ずっといることは出来ないし緩和病院に12月には移ることになりました。緩和ケアに対して、母は不安もあったようですが、そこは丁寧に説明をしました。すべては理解出来ていなかったと思うのですが、必死に説明をする息子のためを思って移ってくれたのではないかと思っています。転院しても、最初は一般病棟におり、それから緩和ケア病棟に移ったのでゆるやかに移行出来たのは良かったと思っています。 病院にはできるだけ通いました。父のために母がしていたこと、それを今度は私がしてあげたい、親孝行らしい事が出来なかったので、このことはなんとしても精一杯やりたい、そんな気持ちがあったからです。最後は、意識がない状態になったのですが、声をかけたらうなずいてくれました。そして、妹が駆けつけた後に母は旅立ちました。きっと私達2人が揃うのを待ってくれていたのだと思います。最初の入院から4ヶ月で母は旅立ってしまいました。

カノン:想送庵カノンで過ごしたご安置の時間はいかがでしたでしょうか。

佐藤様:本当にあたたかな時間を過ごすことが出来ました。とにかく、自宅のように母とゆっくり過ごす時間をとりたかったんです。安置をして面会が9時から21時の間は出来ると言うことを聞いてそれでこちらを選びました。棺には早く入れたくなかったので、そのままで過ごさせていただけた事も本当にありがたかったです。安置の期間はとにかくずっと母と一緒にゆっくり過ごしました。子供の頃に戻ったかのように、親子水入らずの時間を最後に持てたことはとても嬉しかったです。亡くなってからも、母の手が柔らかくて・・その感触を私はずっと忘れないと思います。亡くなった日よりも次の日の方が生きている母に近くなっていて不思議でした。

母は暗めの口紅が好きだったのですが、その口紅を付けて母らしい姿で送り出すことが出来たと思っています。白いとても綺麗なお部屋でお別れをすること出来て、母も喜んでくれていたと思います。ソファもあるリビングルームのようなお部屋で、ソファでスタッフの方が運んで下さった飲み物を飲みながらゆったりと時間を過ごせました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

今も、病院の近くの道を通るときなど、ああ、そこに行けば母がいるのではないかと思ってしまいます。

カノンは、私達にとって母との最後に過ごした大切な思い出の場所です。その思い出の場所をこれからも大切にしていきたいと思っています。

カノン:佐藤様、まだお辛い気持ちが大きい中、真摯にお話し下さってありがとうございました。佐藤様のお母様への想いにとても心が温かくなりました。

イベントの際や、そうでなくても、カノンにはどうぞいつでもお立ち寄り下さい。お母様との思い出を私達も大切に共有できたら嬉しいです。

(インタビュー:カノン)

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